林の中で一人静かに過ごすのが好きで、
心穏やかな時、すごく透明な感覚におちいる時がある。
とても抽象的で、なかなか言葉にするのは難しくて、画の方が伝わるように思う。
　この写真集のプロローグにある自然風景は自宅周辺で私が撮影した。

　そして次に、意識でき、言語化出来ることとして。
　自然の造形物には、エゴや欲といったものがなく、素直に美しいと感じる。
　柳宗悦さんは、
「人の手で作り出すもので、同じ作業を何千回と繰り返して意識しなくとも
体で覚える状態になった時、いろいろな意味で力が抜けて、
美しいものが作れるようになる」
というようなことを仰っていた。
　私の場合はそれほど同じ作業を繰り返すわけではないけれど、
製作の時もデザインにおいても、この思想はずっと心の片隅にある。


　本題の家具の写真は、写真家の坂倉圭一さんに撮影を依頼した。
　作品の核となる要素、美しく見える角度、素材表面のゆらぎ。
プロローグの部分の具現化。
私が作品づくりにおいて重要な要素として位置づけているものを画として、
とてもよく汲み取ってくださったと思っています。

　そして、何よりKITAWORKSのベースとなるこれらのことを本当によく理解してくださり、
この本を刊行するにあたって、全体をデザイン・構成してくださった
橋詰ひとみさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

　 KITAWORKS 　木多隆志

判型：A4変形（300×208mm）
頁数：96頁
製本：上製本
発行年：2024年

Art Direction, Design | Hitomi Hashizume
Photography | Keiichi Sakakura, Takashi Kita
Prose | Masaki Takeda
Translation | Kano Ikegami
Printing Direction | Kazue Nishiyachi（YPP）
Product Management | Tatsuo Sawazaki（YPP）
Printing | Yamada Photo Process Co., Ltd.
Binding | Shibuya Bunsenkaku Co., Ltd.